ストレスはのどにくる!? 自律神経とのどの関係
- コラム
緊張が原因になる、のどの違和感や渇きとは

大事な場面で話すとき、のどが渇いたり、声が不安定になったりすることはよくあります。精神的な緊張によってのどに起こる反応の仕組みについて、精神科医の貝谷先生にお話しを伺いました。
環境が新しく変わることの多い4月は、緊張する機会も増える季節です。そんなとき「のどが渇く」「声が出しづらい」「のどに違和感がある」といった症状を感じる人は少なくありません。
のどは、呼吸や食べ物の通り道という役割のほかに、声を出す働きも担っています。これらの働きは、自分の意志で行う動きや反射的な動きによって行われていますが、同時に「自律神経」の影響も受けています。
自律神経とは、自分の意志とは関係なく、呼吸や心拍、体温、消化など体の機能を調整している神経のことで、活動するときに主に働く「交感神経」と、リラックスするときに主に働く「副交感神経」があります。
たとえば、運動するときは交感神経が優位に働くため、呼吸が速くなって心拍数が上がります。一方、のんびりしているときや睡眠時には、副交感神経が優位になり、体は休息モードに切り替わるのです。
このように、二つの神経が切り替わりながら体を調整していますが、緊張やストレスを感じると、交感神経が優位になり、体も緊張した状態になります。
このとき、のどには次のような変化が起こります。
●唾液の分泌が減ってのどが渇く
交感神経が優位になると、唾液の分泌が減るため、口やのどが渇きやすくなります。人前で話すときに、のどがカラカラになったり、つばを飲み込みにくくなったりするのは、そのせいです。
口が渇くと、舌も上あごにくっつきやすく、発音しづらくなる。
●声帯の周囲の筋肉が緊張して、声が震える
緊張すると体がこわばるように、のどの筋肉も同じように緊張します。すると、声帯もうまく動かず、声がうわずったり、震えたりすることがあります。
また、強い緊張状態では呼吸が浅くなり、声を支える呼気のコントロールも不安定になるので、落ち着いた声が出しづらくなります。
緊張すると声帯がこわばり、声をうまく出せなくなる。
●筋肉が過剰に緊張すると、つかえ感が出る
ストレスや疲労が続くと、自律神経が乱れてのどの筋肉が過剰に緊張したり、感覚が過敏化したりすることがあります。すると、のどに何かがつかえているような感じがしたり、飲み込みにくいといった違和感を覚えたりすることも。
ストレスにさらされると、首や肩、のどの筋肉がこわばり、のどがつかえたり、締めつけられたりするように感じる。
緊張したのどのほぐし方
まず大切なのは、のどを乾燥させないこと。水分をとり、唾液の分泌を促すようガムをかんだり、のど飴をなめたりするのもおすすめです。
そして、緊張をゆるめるアクションをとりましょう。深呼吸をして呼吸を整えると、副交感神経が働きやすくなり、こわばりが和らぎます。人前で話す前に、首や肩を軽く回すストレッチをしたり、何回かゆっくり息を吐いたりする(吸うよりも吐くのを長くする)と、呼吸が安定し、声も出やすくなります。
首を大きくゆっくりのばすようにして回すと、首周りの神経(副交感神経系である迷走神経)が刺激され、リラックスしやすくなる。
のどは自律神経の影響を受けやすい器官ですが、のどの不調をすべてストレスのせいにしてしまうのは注意が必要です。緊張する場面での一時的な変化の場合はほとんど問題ありませんが、のどの渇きや違和感が続く場合は、耳鼻咽喉科や心療内科を受診してください。

教えてもらった先生:貝谷久宣先生
精神科医、不安症専門医、医療法人和楽会理事長、京都府立医科大学客員教授
名古屋生まれ。ミュンヘン・マックスプランク精神医学研究所に留学。岐阜大学医学部客員臨床系医学教授、自衛隊中央病院神経科部長を経て1993年2月開院。著書『不安・恐怖症・パニック障害の克服』など多数。NHK「ガッテン」「美と若さの新常識」など多数出演。
制作協力:NHKエデュケーショナル




