のどにやさしい呼吸法「鼻呼吸」のススメ

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のどの痛みや乾燥、いびき、口臭の改善に口呼吸を見直そう

気づくと口がポカンと開いている、朝起きるとのどがカラカラ……。それは口で呼吸をしているサインかもしれません。「健康のために、口ではなく鼻で呼吸をすることが大切」という耳鼻咽喉科専門医の石井正則先生に伺いました。

本来、呼吸は鼻で行うものです。とくに鼻から息を吸うことは体を守るためにも大切で、鼻呼吸はすぐれた防御システムといえます。鼻毛や鼻腔の粘液や粘膜は、ほこりや細菌などの異物が体に入るのを防いでくれますし、吸った空気は鼻腔で適度に温められ、湿らされるため、のどや肺への負担が軽減されるのです。
一方、口呼吸はウイルスや異物が直接のどに入るため、感染症にかかりやすくなります。また、口を開けているため口の中が乾きやすく、唾液の分泌も抑えられてしまいます。すると、粘膜の細胞が傷つきやすくなり、そこに細菌が増殖して、虫歯や口臭の原因にもなると指摘されています。
朝起きたとき、のどの痛みや声がれが起こるという人は、睡眠中に口呼吸をしていると考えられます。では、湿気があれば口呼吸でもよいのかというとそうではありません。口を開けて寝ると、舌がのどの奥に落ち込みやすくなり、気道が狭くなって「いびき」や「睡眠時無呼吸」の一因になることがあります。すると、眠りが浅くなり、日中のだるさや集中力の低下にもつながります。

●口呼吸の傾向チェック

次の項目にひとつでも当てはまる場合、口呼吸の可能性があります。

□気づくと口がポカンと開いている
□舌先の位置が下の歯や歯ぐきの後ろについている
□起床時、のどが渇く、または声がかすれる
□いびきを指摘されたことがある
□唇が乾燥しやすい
□口臭が気になる
□花粉症やアレルギー性鼻炎で鼻づまりがある

●鼻呼吸をしやすくするために

まず鼻呼吸をするには、口を閉じているとき舌先が上あごの前歯の少し後ろにつき、舌全体が上あごのくぼみにピッタリついていることが大切です。舌が正しい位置にあると、気道が確保されて鼻呼吸が楽にできます。

正しい舌の位置は、前歯の裏の少し後ろに舌の先端が接していること。呼吸時には口は閉じ、上下の歯は接していないことが大切。

鼻呼吸に慣れるには、まず日常の中で意識することから始めましょう。
鼻で息をしながら腹式呼吸を行うと、ゆったりとした深い呼吸が自然にできるようになります。おへその上に両手をやさしく当て、手のひらがゆっくりと上下する呼吸を意識してください。また、吸うときより吐く時間を倍にのばして鼻呼吸をするとリラックスもできます。
さらに、吐く前に息を止める呼吸法(ヨガの「クンバカ呼吸法」)もおすすめです。鼻呼吸が身につくだけでなく、習慣にすると4〜8週間ほどで心身が落ち着きやすくなるといわれています。
こうした方法を取り入れながら、のどの負担を減らす鼻呼吸を習慣にしていきましょう。

口を閉じ、鼻から3秒吸って、3秒息を止め、6秒かけて鼻からゆっくり吐く。つらければ、2秒吸って、2秒息を止め、4秒吐くでもOK。5分間繰り返す。
※基礎疾患のある方や妊娠中の方、体調に不安のある方は無理せず、医師に相談の上、行うようにしてください。

なお、鼻づまりがあると鼻呼吸は難しくなるため、花粉症やアレルギー性鼻炎がある場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。内服薬や点鼻薬で鼻づまりの改善が期待できます。
また、睡眠中は口呼吸を防ぐ専用テープの利用やサージカルテープを軽く貼っておくのも、ひとつの方法です。

(2026.5.11掲載)

石井正則(いしい まさのり)先生

JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長
日本耳鼻咽喉科専門医。神経耳科(めまい、耳鳴り、難聴)や自律神経の診察や検査も得意としている。ヨガの公認インストラクターでもあり、院内ヨガやストレス疾患の専門治療施設で指導。耳鼻咽喉科心身医学研究会の発起人メンバーであり、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙医学審査会委員もつとめる。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌など幅広く活躍。

制作協力:NHKエデュケーショナル

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