長引く咳は、花粉が原因?

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花粉症シーズンに増える咳、原因と対策

例年より飛散量が多いと予測されている今年(2026年)のスギ花粉。花粉症の季節は風邪がはやる時期とも重なるので、咳が続いても「風邪だろう」と思いがちですが、その咳は「花粉症による咳」かもしれません。厚労省アレルギー疾患対策推進協議会委員の岡本美孝先生にお話を伺いました。

後鼻漏(こうびろう)による咳

花粉症というと、目のかゆみや鼻水、くしゃみの症状が一般的ですが、咳やのどの痛み、イガイガ感、チクチク感などもよくある症状です。この時期、風邪ではないのに咳が長引く人も少なくありません。
のどに花粉が付着することでアレルギー反応として咳が出る「喉頭アレルギー」がよくみられますが、花粉症による炎症で鼻水が増え、鼻水がのどへと落ちてしまう「後鼻漏」が原因になっている場合もあります。もともと、健康なときでも鼻水の3割ほどはのどに流れ、無意識に飲み込んでいるといわれていますが、花粉症によって過剰に分泌された鼻水がのどに流れ込み、神経が刺激されて、咳が起こることがあるのです。
後鼻漏による咳は、風邪のような発熱やだるさを伴わないのが特徴です。また、喉頭アレルギーは乾いた咳が特徴ですが、後鼻漏による咳は湿った咳を伴うことがあります。横になると鼻水がのどに落ちやすくなるため、夜間から早朝にかけて咳が悪化する傾向があります。朝起きたときに痰混じりの咳が多く出たり、のどに炎症を起こしたりして痛みが出たりする場合も。さらに、花粉症により鼻がつまって口呼吸による乾燥などから咳が止まらなくなったりもします。
後鼻漏が原因の咳は、花粉症の治療で鼻水が減ってくると次第に落ち着いてきます。

花粉症が原因の咳は、花粉がのどに付着することによる「喉頭アレルギー」と、過剰な鼻水がのどに落ちる「後鼻漏」による咳がある。

PM2.5による咳

花粉が多い時期は、大気汚染物質であるPM2.5が多く飛ぶ時期と重なります。PM2.5は非常に小さい粒子のため、のどや気管支の奥まで入り込みやすく、炎症やイガイガ感を引き起こし、咳が出やすくなります。
花粉症で粘膜が敏感になっていると、こうした刺激を受けやすく、咳も長引きやすくなってしまいます。また、気管支が敏感な人は喘息症状も出たりするので注意が必要です。
外出の際は、花粉の飛散状況だけでなく、PM2.5の環境情報などもチェックして対策をとるようにしましょう。

花粉とPM2.5をブロックし、薬は早めに服用を

花粉症やPM2.5による咳を防ぐためには、アレルゲンである花粉やPM2.5にできるだけ触れないことが基本です。外出の際にはマスクを着用し、帰宅時は玄関前で衣類を払いましょう。手洗い、洗顔、うがいをこまめに行うことも大切です。鼻洗浄や部屋の加湿は、粘膜の保護に役立ち、咳をやわらげます。
後鼻漏が強い場合は、耳鼻科で適切な治療を受けましょう。花粉症治療のガイドラインでは、症状が少しでもみられたら抗アレルギー薬を服用すると、症状のピークが抑えられるとされています。

外出時はメガネやマスク、帽子などで防備し、花粉の付着しづらいツルツルとした素材の上着で。玄関前で付着した花粉などを落とそう。

長引く咳に隠れている病気にも注意

花粉症の影響で咳が長引く人は多いものの、飛散シーズンを過ぎても長期間続く場合は別の病気が原因になっている可能性もあります。また、喘息も合併している人は、花粉症の症状が強くなると喘息の症状も悪化することがあります。呼吸時にゼイゼイしたり、強い胸の痛みや動悸があったりする場合は、速やかに医療機関を受診してください。

(2026.1.6掲載)

岡本美孝先生

千葉大学耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学教授を経て2019年より千葉労災病院院長。
厚労省アレルギー疾患対策推進協議会委員。

制作協力:NHKエデュケーショナル

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