ジメジメ季節の喉頭アレルギー対策
- コラム
湿度が高まる季節に増えるダニ・カビが原因ののどのイガイガ、空咳
花粉症の季節もひと段落し、初夏を迎える頃になって、風邪や花粉症に似た症状に悩まされていたら、その原因は室内にあるかもしれません。 ハウスダストなどが原因の喉頭アレルギー(アレルギー性喉頭炎)について、岡本美孝先生にお話を伺いました。
私たちの体には、ウイルスや細菌などの異物(抗原)から身を守るための免疫機能が備わっています。この免疫の働きが異常を起こし、ウイルスや細菌以外のさまざまな異物に対して過剰な反応を示すのがアレルギー症状です。
アレルギー反応が喉頭の粘膜で起こり、咳やのどのかゆみ、イガイガ感などの異常感が続くのが「喉頭アレルギー」です。
スギやヒノキといった花粉などが原因の場合は「季節性喉頭アレルギー」、ハウスダストなどが原因の場合は「通年性喉頭アレルギー」と分類されますが、いずれもアレルギーによる炎症です。
「花粉の季節でもないのに、のどがかゆい」「起床時にのどがイガイガしたり、チクチクしたりする」「空咳が8週間以上続く」などという場合、ダニやほこり、カビ、ペットの毛といったアレルギー物質による、喉頭アレルギーかもしれません。
これらは、室内のどこにでも常に存在するので、季節を問わずアレルギーを生じさせ、鼻アレルギーや喉頭アレルギー、さらに呼吸が苦しくなる気管支喘息を引き起こすこともあります。
梅雨時期から増えるダニ
ハウスダストという言葉を聞いたことがある人も多いと思いますが、これには、ほこりなどのほか、次のようなものが含まれます。
●ダニやその死骸、フン
●カビ、細菌
●繊維くず
●ペットの毛
●昆虫(蛾やゴキブリなど)の死骸
など
高温多湿を好むダニは、梅雨から夏にかけて最も多くなり、ダニの死骸やフンはそこから秋にかけて増えていきます。
朝起きたときに、くしゃみや鼻水が出たり、のどの症状がつらくなったりすることを「モーニングアタック」といいますが、就寝中に布団や枕からダニなどを吸い込むことが原因の場合もあります。
こまめな掃除と洗濯を
ハウスダストは非常に小さく軽いため、空気中に舞い上がりやすく、吸い込むことでアレルギー症状を引き起こします。ハウスダスト対策の基本はこまめな掃除。ただし、いきなり掃除機をかけると、掃除機からの排気でハウスダストが空中に舞い上がってしまうので逆効果です。掃除用シートで床を拭いてから、掃除機で吸い取るようにしましょう。フィルター付きの掃除機を使うとよいでしょう。時間帯は、ハウスダストが床にたまっている朝に行うのがベター。また空気清浄機にも効果が期待できるものがあります。
シーツやタオルケットなどの寝具は週に一度を目安に水洗いをするとよいでしょう。
病院で受診し、アレルゲンの特定を
ハウスダストなどによる喉頭アレルギーは、季節に関係なく起こるため風邪と思い込んでしまうことも。家にいるときだけ症状が出る、とくに起床時に症状が強いなど、症状が出るタイミングを見極めてみましょう。
アレルギーが疑われる場合には、原因の特定が適切な治療に大切ですから、受診して血液検査や皮膚パッチテストなどをすることをおすすめします。
喉頭アレルギーと診断された場合、花粉症の治療と同様、抗ヒスタミン薬の内服が基本となります。のどの炎症に効果が期待される薬を1週間程度使用しても症状の改善が見られない場合やのどの症状が強い場合は、咳喘息や他の病気がないかの診断も必要なので、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
教えてもらった先生:岡本美孝先生
千葉大学耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学教授を経て2019年より千葉労災病院院長。厚労省アレルギー疾患対策推進協議会委員。