声で印象アップ! 自信がつく「声の出し方」

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腹式呼吸と発音のコツをマスターして聞き取りやすい魅力的な発声に

ハキハキとして聞き取りやすい声や、心地よく響く声は、その人の印象をよくする効果があります。「声は短期間で変えられますし、驚くほどの効果が期待できますよ」という元NHKキャスターの牛窪万里子さんにお話を伺いました。

腹式呼吸を使って発声する

幼いころ「お腹から声を出しなさい」と、親や先生から言われたことはありませんか?
いい声を出す基本は、お腹から声を出すこと。アナウンサーはみんな腹式呼吸で声を出しています。腹式呼吸の発声は、お腹の筋肉も使って空気をたくさん吸い込めるため、息を強く、長く吐けるようになり、声帯がより振動して、自然と聞き取りやすい声が出るのです。また、ワンブレス(一息)が長く持つので、一文を途切れることなく、なめらかに話せるようにもなります。
よく、声が途切れがちになったり、相手から聞き返されたりするという人は、呼吸が浅いのかもしれません。

[主な原因]

□お腹に手を当てて深呼吸してみましょう。息を吐くときはおなかがへこみ、息を吸うときにおなかがふくらんだら腹式呼吸ができています。
□腹式呼吸は横隔膜を上下させ、お腹をふくらませたりへこませたりする呼吸法です。男性は普段から主に腹式呼吸を使っていますが、女性は胸式呼吸(肋間筋〈肋骨と肋骨の間にある筋肉〉を動かす呼吸法)をすることが多く、その場合、お腹の動きは逆になり、肩が上下します。

■腹式呼吸

自信のある魅力的な声が出る腹式呼吸

ビジネスシーンでも腹式呼吸での発声はとても役に立ちます。のどに負担をかけないので、長時間のスピーチやプレゼンでも声がかれませんし、呼吸が強くなるため声が震えず、安定感が出ます。緊張すると声が震えてしまうという人は、腹式呼吸で張りのある声を出して震えを防ぎましょう。
アナウンスの基本として「出だしの音を高く、文末に向かって低くする」ということがあります。高低のイントネーション(抑揚)をつけることで、話し方にメリハリが出ます。また、聞き手が集中しやすく、最後まで聞き取りやすくなるコツです。
「自分の声が好きじゃない」という人も大丈夫。腹式呼吸で発声すると、声に響きが出るので、魅力的な声が出るようになります。これが、腹式呼吸で発声する最大のメリットかもしれません。声そのものに力が感じられるようになるので、相手へのアピール力も高まるでしょう。

「母音」をしっかり発音する

聞き取りやすい声は、声量だけでなく、発音の明瞭さも大切です。「安藤です」と言ったのに「遠藤さんですね」と聞き違えられたりするのは、母音をしっかり発音できていないからです。この「ア」の音が「エ」に近くなってしまう人は意外に多いのです。縦のだ円形を意識し、指2本分が入る大きさで「ア」を発声する練習をしましょう。
また、鼻に抜けるような発声も、こもった声やにごった声になってしまう原因です。鼻を軽くつまんで「あー」と発音したときに、手にビリビリと振動を感じたら声が鼻に抜けている証拠。母音の「アイウエオ」は鼻をつまんでもクリアな音になります。ちなみに「ナニヌネノ」は、鼻に抜ける音なのでビリビリ感じます。「ア」といった母音を、鼻を通して出すくせがある人は、声を口から真っ直ぐ出すように意識しましょう。

シーンによって声を使い分ける

女性は、ふだんの声とよそいきの声を自然に使い分けられる人が多いようですが、男性はどの場面でもあまり変わらないようです。一般的に、低い声のほうが信頼度は増しますが、仕事で人に動いてもらいたいときは、ふだんより少し声を高く、ハッキリと明るくしたほうが、情報は伝わりやすくなります。
声に自信がないという人は、自分が思っている以上に、低く、暗い声を出していることがほとんどです。「声のテンションを変える」という感覚を意識的にもってみましょう。 たとえば、赤ちゃんに話しかけるときは自然と明るい声が出るものです。また、笑顔で声を出すことも大切。笑顔で話すと、口角が上がって、明るく晴れやかな声になります。笑顔で話す「笑声」(えごえ)を意識すれば、声の印象もあいまって、好感度はグンと高まるでしょう。

(2024.5.27掲載)

教えてもらった先生:牛窪万里子(うしくぼ まりこ)さん

元NHKキャスター。株式会社メリディアンプロモーション代表取締役。
「NHK首都圏ネットワーク」などの報道・情報番組を経て、現在はNHK「ラジオ深夜便」のインタビューコーナー「身近なことからSDGs」(全国12局)に出演中。その他アナウンススクールを運営し、話し方やコミュニケーションをテーマに企業への研修・講演活動を行っている。著書は『難しい相手もなぜか本音を話し始めるたった2つの法則』(日経BP社)など6冊。

制作協力:NHKエデュケーショナル

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