声帯ポリープ

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かすれ声になる「声帯ポリープ」 放置するとどうなる?

声を出しづらい、かすれる、風邪をひいてないのに声がハスキーボイスになったりするときは、声帯に異常がある可能性があります。有名バンドのボーカリストが発症して話題にもなった「声帯ポリープ」、その症状と治療について渡邊雄介先生にお話を伺いました。

初期症状は、声やのどの違和感

風邪を引いていないのに声がかすれる、声を出しづらいといったことが、声帯ポリープの代表的な症状です。声が裏返ったり、痰がからんだりするといった症状がみられることもあります。

【主な症状】

□声がかすれる
□声が低くなる
□声を出しづらい
□話している途中で声が途切れる
□声が裏返る
□のどがイガイガする、違和感がある
□痰(たん)がからむ

声帯ポリープを放っておくとどうなる?

声帯ポリープは、声帯にできる良性のこぶのようなもの。声を出し続けるなどして声帯を酷使すると、声帯に炎症が起こって内出血し、それが血豆のようになります。
声帯ポリープができると、左右の声帯がしっかり閉じなくなるので、振動が不規則になって声がかすれたり、声が出にくくなったりします。症状を放置したまま無理に声を出し続けていると、ポリープが大きくなり、声がれなどの症状が強くなります。最初は、高音や低音など一定の音域の声が出にくかったのが、どの音域でもかすれた声しか出なくなるなど、仕事など日常生活に支障が出てきます。

左右どちらかの声帯に血豆のようなものができる

声帯ポリープの治療

声がれが10日以上続く、15秒間以上声を出し続けられない、といったことに加え、のどに異物感がある場合は、声帯ポリープなど声帯の異常が疑われます。
声帯ポリープは放置したからといって、がんに変わったりすることはありません。ただし、声帯の異常には初期症状が似ている喉頭がんなど悪性腫瘍の可能性もあるので注意が必要です。放置せず、まずは診断を確定するために、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
初期の声帯ポリープは自然に消えてなくなる可能性もありますが、通常は次のような治療が行われます。

●沈黙療法・・・・・数週間声を出さない
●薬物療法・・・・・のみ薬や吸入薬で炎症を緩和する
●声の衛生指導・・・言語聴覚士から声帯に負担をかけない発声法の指導を受ける

これらの治療を行なっても改善が見られない場合は、手術を検討します。通常は、全身麻酔をして行う「喉頭顕微鏡下手術」となり、2~5日間ほどの入院が必要です。
術後は声帯が一時的に傷ついているため、1週間程度、声を出さずにいる「沈黙療法」で安静に過ごします。
声を出すことが多い職業の人の場合、手術後およそ3~4週間で仕事に復帰できるでしょう。

(2024.3.19掲載)

教えてもらった先生:渡邊雄介先生

医療法人財団順和会 山王メディカルセンター副院長、国際医療福祉大学 東京ボイスセンター長、国際医療福祉大学医学部教授、東北大学医学部非常勤講師、東京大学医科学研究所附属病院非常勤講師、山形大学医学部臨床教授
専門は音声言語医学、音声外科、音声治療、GERD(胃食道逆流症)、歌手の音声障害。音声の専門医として一般の方からプロフェッショナルまで幅広い支持を得ている。著書に『マスクをするなら「声筋」を鍛えなさい』ほか多数。近著は『毎日10分 長生き風呂カラオケ』。

制作協力:NHKエデュケーショナル

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