冬の感染症の季節到来 どう防ぐ? 家庭内感染

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インフルエンザ・新型コロナウイルス 感染対策のポイント3つ

空気が乾燥し、気温も下がる秋から冬は、風邪やインフルエンザなど呼吸器感染症にかかりやすくなる季節です。新型コロナ感染症は感染症法上の5類に移行しましたが、ウイルスはまだ居続けており、インフルエンザの流行もやってきています。家庭内で感染を防ぐためには何をしたらよいか、対策を改めて確認しましょう。

体調に変化を感じたら

発熱やのどの痛みなど、体調に異変を感じたら、まず無理はしないでゆっくり休み、様子を見るようにしてください。家庭内に高齢者や基礎疾患のある人、妊娠している人など、感染すると重症化のリスクが高い人がいる場合は「うつる病気」かもしれないので、より注意を高めましょう。
現在、新型コロナとインフルエンザの感染を同時に調べられる「同時検査キット」が販売されています。咳やのどの痛み、発熱が続く場合には、受診するかどうかの参考になるでしょう。あるいは、受診の際にあらかじめ検査結果を伝えることで、どのように受診するかの参考になるでしょう。
様子を見る時に、市販の風邪薬や鎮痛解熱剤をとりあえず使っておく、ということも差し支えないので、これらを家庭で備えるのは良いことですが、症状が長引く、あるいは悪くなるといったような場合には、検査の結果(陽性・陰性)にかかわらず、受診が必要です。

看病時はマスクをし、終わったら手洗いを

看病をする人はできれば少人数、可能であれば誰か一人に代表してもらって、接触のリスクを下げましょう。看病するときはマスクをつけるようにします。

Point1 感染者と同居者はできれば部屋を分け、食事やお風呂は時間差に

感染者が療養する部屋と、同居者が過ごす部屋は、できれば別々にすると接触のリスクが下げられます。また、食事も別室にするか、時間を別にして食事をするなどの工夫もできると良いでしょう。部屋だけでなく、トイレやお風呂などの換気も行うようにしてください。

Point2 こまめに換気をする

部屋に「24時間換気システム」があり、正しく作動していればOKです。換気装置が無くても、部屋の窓を常時5〜10cmあけて換気をするのが良いのですが、常時あけておくのは寒さなどもあって難しいので、できれば1時間に1回、10分程度、窓を大きく開けての換気を心がけると良いでしょう。窓が複数あれば対角線状に2つ開けると、換気効率もよくなります。
キッチンや洗面所の換気扇を回して空気の流れを作り、換気を促したり、外気導入タイプのエアコンを稼働させたりするのも有効です。

Point3 マスクを正しくつけ、正しく外す

マスクをつけるときは、顔にフィットさせ、とくに鼻、ほお、あごに隙間をつくらないようにします。マスクを外すときは表面に触れないよう耳掛けの部分を持って外し、必ず石けんで手を洗いましょう。

こんなときどうする? 家庭内感染対策

Case1 高層階で窓が開けられない

2003年7月以降に建てられた建物であれば、機械換気設備(24時間換気)が義務づけられており、窓が閉まっていても換気はできています。ただし、居室人数が増えれば換気の悪い空間になりますので、感染者はできるだけ部屋を分けて過ごすようにしましょう。

Case2 二階建ての住宅の感染者の居室はどこがベター?

室内空気の密度による浮力の関係から、1階の空気が2階へ流れていく可能性があるので、感染者の居室は2階にするのがよいでしょう。

現在、新型コロナウイルスに感染しても外出自粛などはありませんが、新型コロナであってもインフルエンザであっても、症状のあるときに外に出歩くことは体調にも良くないですし、他の人にうつすことになるので、できるだけ控えましょう。感染したあと、会社へ出勤する目安は以下の通りです。 学校などでは、「学校保健安全法」という法律で定められています。

インフルエンザ……発症後5日間かつ解熱したあと2日を経過するまで。

新型コロナウイルス……発症後5日を経過し、かつ症状軽快後24時間を経過するまで。

(2023.11.27掲載)
岡部信彦 (おかべ・のぶひこ)所長

教えてもらった先生:川崎市健康安全研究所
岡部 信彦 (おかべ・のぶひこ)所長

1971年慈恵医大卒。バンダービルト大小児科感染症研究室、国立小児病院感染科、神奈川県衛生看護専門学校付属病院小児科部長、WHO/WPRO伝染性疾患予防対策課課長、慈恵医大小児科助教授、国立感染症研究所感染症情報センター長などを経て、2012年川崎市衛生研究所(現川崎市健康安全研究所)所長

制作協力:NHKエデュケーショナル

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