のどのがん 咽頭がんと喉頭がん

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見逃さないで! 飲み込むときの違和感や声のかすれ
がんのサインの場合も

のどのがんは進行すると声を失ってしまうことがあります。また、発声だけでなく、嚥下や呼吸といった重要な機能もあるため、生活の質を大きく損なってしまう病気といえます。早期発見するために、塚原清彰先生に症状のセルフチェックについて伺いました。

咽頭がんと喉頭がん

のどは大きく咽頭(いんとう)と喉頭(こうとう)に分けられます。咽頭は鼻の奥から食道までの飲食物と空気が通る部位、喉頭はいわゆる「のどぼとけ」のところにある器官で、気管と咽頭をつないでいます。発声に必要な声帯は喉頭にあります。
咽頭にできるのが咽頭がんで、がんができた場所によって「上咽頭がん」「中咽頭がん」「下咽頭がん」に分けられます。喉頭にできるのが喉頭がんでこちらもできた場所によって「声門がん」「声門上部がん」「声門下部がん」に分けられます。

がんの場所や進行度で変わる自覚症状

のどにがんができると、飲み込みにくさを感じたり、のどに違和感を覚えたりします。食べ物が通りづらくなるため、体重が減少することもあります。そのほか、声がかすれたり、首にしこりができたり、耳が詰まったように感じたりすることもあります。
のどのがんは、がんができる場所によって最初にあらわれる症状が異なります。

▶︎飲み込みにくい、のどの違和感
中咽頭・下咽頭がんによく見られる症状です。食べ物は中咽頭から下咽頭を通って食道にいくため、がんが大きくなると食べ物の通りにくさや息苦しさが出ます。喉頭がんでものどの異物感により発見されることがあります。

▶︎声のかすれ
喉頭がんの60~70%は声がれを意味する嗄声(させい)がみられます。なかでも声帯付近にがんができる声門がんは早い時期から嗄声があらわれるため、早く発見されやすいがんといえます。しかし、声門上部がんや声門下部がんは進行しないと嗄声が出にくいため、発見が遅れがちです。

▶︎首のしこり
がんが進行して周囲のリンパ節に転移すると、しこりとなって首の一部が腫れます。

▶︎耳閉感・鼻づまり
上咽頭がんに多い症状で、耳と鼻をつなぐ管がふさがり、耳閉感(じへいかん)という耳の中に何かが詰まっている感じ、または耳を塞がれた感じといった違和感を覚えたり、鼻づまりを感じます。鼻血が出ることもあります。

▶︎扁桃の腫れ
中咽頭がんでは、片側の扁桃が腫れることがあります。

そのほかにも、のどが強烈に痛くなる、口から血が出る、痰に血が混じるといった症状が出る場合もあります。嗄声などの症状が2週間以上続く場合は、がんを疑って、耳鼻咽喉科や頭頸(とうけい)科を受診しましょう。頭頸科とは、頭部や首、のどのがんをメインに診療するところで、一部の医療機関で開設されています。 また、喫煙と飲酒は喉頭がんの発生リスクを上げるとされ、「喉頭がん」の患者の9割が喫煙者です。喫煙と飲酒、両方の習慣がある方はリスクがより高まります。ヘビースモーカーの人や飲酒量の多い人は、定期的に検診を受けることも大切です。

(2023.10.24掲載)

教えてもらった先生:塚原清彰先生

東京医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野 主任教授。日本頭頸部外科学会、日本口腔・咽頭科学会、日本喉頭科学会、日本気管食道科学会の理事を務める。専門は頭頸部腫瘍。会長として主催した第85回耳鼻咽喉科臨床学会で、日本初となる頸部郭清術のライブサージャリーを成功させた。

制作協力:NHKエデュケーショナル

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