夏バテのどの健康回復

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疲れ倍増!
クーラーの冷えと乾燥で夏バテのどに

夏は疲れがたまりやすい季節。とくに猛暑続きだった今年は、夏バテだけでなく、エアコンの利用が続き、のどの痛みやせきなどを訴える人も少なくありません。まだ暑い日も続くなか、体調不良の予防や夏バテから回復するためのポイントを渡邊雄介先生に伺いました。

エアコンでのどが痛くなるワケ

エアコンが欠かせない今年の猛暑。「朝起きると、のどが痛い」「エアコンをつけたまま寝たら、翌朝声が出なくなった」など、のどの不調に見舞われることがあります。
その原因は、冷房による乾燥です。エアコンの冷房機能は、空気中の水分を外へ放出して室内を冷やすため、部屋は乾燥しやすくなります。乾燥した空気を吸うと、のども乾燥するため、痛みが生じます。
就寝時にエアコンを使う場合は、送風が直接当たらないように工夫しましょう。エアコンの設定温度は25度〜28度程度にし、隣の部屋のみエアコンをつけるようにしたり、扇風機を併用して室内の空気を循環させたりするのもよいでしょう。
また、普段から口呼吸をしている人は、口全体が乾燥しやすいので、のどを痛めやすいともいえます。日中は鼻呼吸を意識していても、睡眠中は口呼吸をしている場合もあります。起床時に口や唇が乾いていたり、のどがイガイガするといった人は、マスクをつけて寝たり、口呼吸を予防するマウステープを貼るなどしましょう。

体の冷やしすぎに注意

クーラーのきいた室内と暑い屋外、この温度差が激しいと、体温調整を担う自律神経が乱れやすくなります。自律神経のバランスがくずれると、のどの痛みや頭痛、倦怠感などの症状が出やすくなるのです。
さらに、暑くて食欲が落ちていると、栄養不足になって免疫力が低下しやすく、いわゆる夏バテにつながります。
次のような項目が当てはまる人は夏バテしやすいといえます。

●オフィスなど冷房が効いた環境に長時間いる

●食欲不振や偏った食事をしている

●夜ふかしや睡眠不足が続いている

●冷たいものを食べすぎ、飲みすぎている


これから秋に向かって、屋外にいても汗をかく機会は減っていきます。冷たい飲み物をとりすぎる習慣がついていると、体が冷えてしまい、自律神経の働きにも悪影響。夏バテしたまま回復できず、秋になっても不調を引きずることにもなりかねません。

体を温めることを意識する

食事、睡眠、休養をしっかりとり、規則正しい生活を心がけましょう。シャワーで済ませていた人も湯船にしっかり浸かると、冷えていた体も温まり、血行がよくなります。
暑い日には水分をしっかりとることが大切ですが、冷たいものではなく、常温の水や白湯にするなど体を冷やしすぎないよう工夫してください。コーヒーやアルコールは、一見水分をとっているように感じますが、利尿作用もあるので、飲みすぎると、かえってのどが乾燥しやすくなるので注意しましょう。

(2023.9.19掲載)

教えてもらった先生:渡邊雄介先生

医療法人財団順和会 山王メディカルセンター副院長、国際医療福祉大学医学部教授、 山形大学医学部臨床教授、東京大学医科学研究所附属病院非常勤講師。
専門は音声言語医学、音声外科、音声治療、GERD(胃食道逆流症)、歌手の音声障害。音声の専門医として一般の方からプロフェッショナルまで幅広い支持を得ている。著書に『マスクをするなら「声筋」を鍛えなさい』ほか多数。

制作協力:NHKエデュケーショナル

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