声がれの原因と対処法

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ご用心!のど(喉)の異常サイン「声がれ」とは?

新型コロナウイルス感染症対策が緩和され、お祭りなどのイベントも復活。スポーツ観戦やコンサートでも声を出して楽しめるようになりました。
イベントを楽しんだあと、いつもの美声が「ガラガラ声」になってしまうのはなぜか、山王メディカルセンター副院長の渡邊先生にお話を伺いました。

声がれは声帯のSOS

カラオケで歌いすぎたり、大声で応援したりして、声がかれてしまった…という経験は誰しもあるのではないでしょうか。
ガラガラ声やかすれ声といった「声がれ」は、医学用語で「嗄声(させい)」といいます。
声を出す発声は、のどの奥のほうにある「声帯」が担っています。
声帯は左右一対となっている帯状の器官で、唇のように開閉しています。息を吸うときは声帯が開きますが、発声時には声帯を閉じ、息を吐く圧力で声帯のひだを振動させて、声を出すのです。

大声を出したり、無理な発声をしたりして声帯に負担をかけると、声帯が炎症を起こしたり、むくんでしまったりします。そのため、声帯がしっかりと閉じずに声がかすれるというわけです。
声帯の炎症は、声の出しすぎのほか、風邪やアレルギー反応、喫煙、飲酒といったことでも起こります。

お酒の飲みすぎも「声がれ」の原因に!?

ビールでのどを潤す……という表現はよく聞きますが、じつは、お酒の飲みすぎはのどの乾燥につながります。
アルコールによる利尿作用と、アルコールを分解するために多くの水分が必要となり、軽い脱水症状が生じることで、のどが乾燥しやすくなって炎症を引き起こすことがあるためです。
また、酒席で喫煙したり、副流煙を吸い込んだりすることも、のどの粘膜には悪影響。煙を吸うとのどが乾燥しやすくなります。また、お酒を飲んで酔ってくると、声も大きくなりがちなので、飲み会後は声がれの可能性が高まります。

声がれが続いたら、受診も

のどを酷使した、風邪を引いたなど、声がれの原因がはっきりとわかる場合には、のどをできるだけ休ませるようにします。水分補給をこまめにするなど乾燥に気をつけて過ごすようにすれば自然に治ります。粘膜の炎症を抑える薬や解熱鎮痛剤の服用も効果的です。
ただし、のどの炎症がきっかけで声帯ポリープができる場合もありますから、声がれが10日以上続く場合は、耳鼻咽喉科などの医療機関を受診しましょう。
原因に心当たりがなく、1カ月以上声がれが続く場合は、声帯ポリープや声帯結節、喉頭がん、声帯麻痺といった「声帯疾患」も考えられます。
注意したいのは、突然声がれがあらわれて、激しい胸痛や呼吸困難などを伴っている場合。急を要するケースもあるためただちに医療機関を受診してください。

(2023.4.24掲載)

教えてもらった先生:渡邊雄介先生

医療法人財団順和会 山王メディカルセンター副院長、国際医療福祉大学 東京ボイスセンター長、国際医療福祉大学医学部教授、東北大学医学部非常勤講師、東京大学医科学研究所附属病院非常勤講師、山形大学医学部臨床教授

専門は音声言語医学、音声外科、音声治療、GERD(胃食道逆流症)、歌手の音声障害。音声の専門医として一般の方からプロフェッショナルまで幅広い支持を得ている。著書に『マスクをするなら「声筋」を鍛えなさい』ほか多数。

制作協力:NHKエデュケーショナル

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