知っているようで知らないのどケアの基本
- コラム
お肌も のども「乾燥」は大敵! 粘膜ケアでトラブル知らずに!
空気が乾燥する冬。暖房器具を使う機会も増え、肌の乾燥が気になる季節ですが、「のどの保湿」を気にかけていますか?
のどは乾燥すると、風邪や口臭、声がれなどのトラブルを引き起こしやすくなります。この時期、とくに習慣にしたい「のどケア」について渡邊先生に聞いてみました。
のどは乾燥しやすい器官
のどは体に空気を取り入れる通り道。呼吸をすることはのどの大事な役割のひとつですが、その空気は「鼻」から吸うべきです。鼻の中の粘膜は鼻毛などである程度湿度が保たれているのですが、のどは口を開けると粘膜がむき出しの状態になるため、より乾燥しやすいのです。
のどが乾燥する原因には次のようなものがあります。
1.空気が乾燥している
冬の空気中は湿度が低いため、普通に生活しているだけでものどは乾燥しやすくなります。湿度が60%以下の環境では、口や目から水分がどんどん蒸発します。エアコンで室内の温度を上げると、湿度が下がってしまうのでエアコンを使用する際は、湿度の管理にも注意しましょう。
2.口呼吸
マスク着用が増えたことで、口呼吸になっている人が増えていると言われています。就寝中、無意識に口呼吸している人は、口内から水分が蒸発するので、のどが乾燥し、起床時の口臭がきつくなる傾向があります。
3.若年期には見られなかった現象
一般に加齢とともに体内の水分量は減るとされています。それにともない口やのどが乾燥しやすくなります。40代からはのどの渇きに気づきにくくなると言われるので、意識的に水分をとることが必要です。
乾燥によっておこる のどのトラブル
のどの粘膜が乾燥すると、粘膜の防御機能が低下するため、ウイルスや細菌などの異物が侵入しやすくなり、のどの痛みや腫れ、イガイガを感じたりします。感染症も引き起こしやすくなり、風邪やインフルエンザにもかかりやすくなってしまいます。
また、就寝中にのどが乾燥すると、のどの違和感や咳によって眠りが浅くなったり、夜中に目が覚めたりするなど、中途覚醒につながりやすく、よい睡眠がとりづらくなります。 さらに、粘膜が乾燥していると声帯を動かしづらくなるため、カサカサとした「老け声」にも。潤いのある「つや声」でいるためにも、粘膜をケアしてください。
おすすめの粘膜ケア
のどを乾燥から守る方法を紹介します。感染症の予防はもちろん、全身の健康維持にもつながります。粘膜ケアをしっかりと行って、のどの潤いを保つことを習慣にしましょう。
1 手作り濡れマスク
二枚の不織布マスクの間に濡らしたガーゼやティッシュペーパーを挟む。
※就寝中は窒息などトラブルの恐れがあるので使用しないでください
2 水分補給
こまめな水分補給を意識する。のど飴をなめて唾液の分泌を促すのもよい。
3 塩うがい
冬など乾燥する季節はとくに帰宅後のうがいが大切。真水よりも高い浸透圧があるので消毒作用がある塩水(水500mlに塩小さじ1)にすると、のどのむくみを抑えられます。
教えてもらった先生:渡邊雄介先生
医療法人財団順和会 山王メディカルセンター副院長、国際医療福祉大学 東京ボイスセンター長、国際医療福祉大学医学部教授、東北大学医学部非常勤講師、東京大学医科学研究所附属病院非常勤講師。
専門は音声言語医学、音声外科、音声治療、GERD(胃食道逆流症)、歌手の音声障害。音声の専門医として一般の方からプロフェッショナルまで幅広い支持を得ている。著書に『マスクをするなら「声筋」を鍛えなさい』ほか多数。