のど(喉)の違和感 その原因と対処法

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のどが痛い、イガイガする、詰まった感じがする……。
これってただのかぜ? それコロナなの? ほかになにか考えられる?

コロナ禍のいま、のどに違和感があると「新型コロナに感染したのかな」と疑う人が多いと思いますが、のどが痛くなる原因は、コロナウイルスのほかにもいろいろあります。原因をしっかりと見極めて、適切に対処しましょう。

のどの「痛み」は炎症のサイン

私たちは、無意識に行う呼吸と同時に、空気中に浮遊するホコリやばい菌、ウイルス、化学物質、花粉等の異物を吸い込んでいます。そのままですと、たちまち体調を崩してしまいますが、そうならないように、のどには異物やウイルスの侵入を防ぐ「線毛運動」という防御機能が備わっています。のどの内壁には粘膜があり、「線毛」と呼ばれる特別な細胞が敷きつめられています。吸い込んだ異物は、のどの粘膜を流れている粘液で捕らえられ、線毛の運動によって粘液は流れ、異物は排出されていきます。このように、カラダを異物から守る大切な仕組みがあるのです。

ところが、のどが乾燥していると、この線毛の働きが悪くなり、防御機能は低下してしまいます。つまり、のどの細胞が痛むと、痛んだ細胞に好んでウイルスや細菌が増殖して感染しやすくなります。感染が起こると炎症をひき起こします。この炎症が、痛みや腫れの原因です。

また、タバコの煙やホコリ、花粉などにのどがさらされたり、過度のお酒や香辛料による強い刺激を受けたりすることで、のどは炎症を起こしやすくなり、痛みを感じるようになります。カラオケで歌い過ぎたり、大声を出したりしたあとに痛みが出るのも、のどに炎症が起きていることが考えられます。

のどに負担をかける行動は避けて、うがいや加湿器を使うなど、のどを潤すことを日常から心がけてください。

のどの粘膜と線毛のはたらき

のどの潤いには鼻呼吸が大切!

冷たく、乾燥した空気は鼻の中で温まり、加湿され、潤いのある状態でのどを通ります。また、鼻の中でも線毛の働きで異物を排出してくれます。

口呼吸になる原因

肥満

枕が低すぎる

噛み合わせが悪い

のどの違和感?花粉症やアレルギーかも

花粉症はスギ花粉に代表され、春に流行するイメージが強いかもしれませんが、秋にもアレルギー症状を起こす「ブタクサ」「ヨモギ」「カナムグラ」などの花粉が飛び広がっています。

ブタクサなど秋の花粉はスギと比べると粒子が小さいため、花粉が気管支まで届いてしまい、のどがイガイガするといった強い違和感を生じさせるのが特徴です。また、アレルギーがあるとぜん息のようにせき込むなどの症状をひき起こしてしまう場合もあります。

また秋は、夏に増えたダニの死骸や糞を吸い込んで発症するダニアレルギーも多く見られます。ハウスダストのアレルギーはダニアレルギーと一致します。衣替えや冷房や暖房などの空調の使い始めで増加します。

新型コロナやカゼでもなく、のどへの直接的な刺激になるような飲酒や喫煙、のどの使いすぎといったことに思い当たらない場合ののどの違和感は、花粉症や衣替え、空調によるハウスダスト やダニのアレルギーを疑ってみると原因がわかるかもしれません。

ストレスものどの違和感の原因に

のどが痛いというよりは、のどが詰まった感じや胸がつかえて息苦しいと感じた場合、主な原因としてあげられるのがストレスです。心配ごとや不安、イライラ、緊張が続くなど、日常的にストレスを感じている人に起こりやすいといわれています。

食道や胃といった消化器官は、自律神経によってコントロールされていますが、ストレスをためこむと自律神経の働きは乱れ、食道近くの筋肉が過剰に収縮して、のどの違和感や圧迫感を生じさせてしまうと考えられています。

のどの疾患がないのに違和感がある場合、ストレスや疲れがたまっていないか自分自身を振り返ってみてはどうでしょう。

また、のどが詰まるといった症状は「逆流性食道炎」の疑いがあります。これは胃酸が食道へ逆流し続けることで、食道に炎症をひき起こす病気です。胃酸は刺激が強いため、食道だけでなくのどまで傷つけることがあります。朝方に口臭が強かったり、ゲップが出たり、のどの違和感や声がれ、咳といった症状が出る場合があるのです。診断には胃カメラの検査が必須です。気になる方は、検査をして治療を受けましょう。

(2022.11.09 掲載)

教えてもらった先生:石井正則(いしい まさのり)先生

JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長
日本耳鼻咽喉科専門医。神経耳科(めまい、耳鳴り、難聴)や自律神経の診察や検査も得意としている。ヨガの公認インストラクターでもありストレス疾患の専門治療施設やヨガスタジオで指導。耳鼻咽喉科心身医学研究会の発起人メンバーであり、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙医学審査会委員もつとめる。 テレビ、ラジオ、新聞、雑誌など幅広く活躍。

制作協力:NHKエデュケーショナル

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