声の印象をよくしよう! 若々しい「ツヤ声」の出し方

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「声」はカラダと同じく齢とともに変化するもの
いつまでも若々しい声でいる秘訣とは?

「長話をすると疲れる」「以前のような高い声が出ない」「声が出にくい」という声のトラブルを経験したことはありませんか。
コロナ禍で声を出す機会が格段に減ってしまっている今、年齢に関係なく「老け声」リスクが高まっています。
若々しく、ハリのある声を保つにはどうしたらよいか、先月に引き続き、のどの専門医で長年治療に携わる渡邊雄介先生に伺いました。

「2度目の声変わり」を知っていますか? いわゆる「老け声」に注意!

久しぶりに話した知人から「声が低くなった」と言われて驚いたことはありませんか?
個人差はありますが、成人してからも「2度目の声変わり」ともいわれる時期があります。女性は声が低くなり、男性では逆に声が少し高めになる傾向が報告されています。
また、久しぶりに歌ってみたら、声がかすれるようになったり、以前は歌えた音域が出しづらくなったりといった変化を感じたことはありませんか? このところ増えたオンラインの会議で、聞き返されるなど声の通りが悪くなったと感じたことはないでしょうか?
思い当たった人は、しゃがれたり、トーンが低くなったりする「老け声」になっているかもしれません。ハリやツヤのある声は若々しく、魅力的に感じますし、「老け声」はどうしても老けた印象を与えてしまいます。第一印象をよくするためにも、のどのケアは大切です。

かすれ声や低い声は「声筋(こえきん)」の衰えが原因

声を出すしくみは、のどぼとけの後ろに位置している「声帯」を肺から送り出す息で振動させることで発せられます。声帯は左右一対となっている帯状の器官で、唇のように開閉します。声を出すとき、この2枚の声帯がぴったりと閉じるのですが、歳とともに声帯の筋肉が衰えてくると、周辺もたるみ、閉じたときでも隙間ができるようになります。これが声のかすれにつながるのです。
また、筋肉が衰えていると、振動数が減ってしまうため、声のトーンが低くなったり、ハリのない声になったりするのです。
つまり、「老け声」と呼ばれる声の衰えは、声帯の筋力、いわゆる「声筋(こえきん)」の低下が原因です。 筋肉の低下はホルモンの減少によって進みますので、とくに女性の場合、ホルモンバランスが崩れると、ハリのある声をいっそう保ちづらくなります。一般には更年期以降に「老け声」になりやすいといわれていますが、長引くコロナ禍では、声を出すことが少なくなり、年齢に関係なく声のトラブルに悩むことも起こるとされています。

日常のケアで声のアンチエイジングを!

ある番組で使われた「筋肉は裏切らない」というフレーズが流行ったことがありますが、「声筋」も同じこと。鍛えたり、ケアすることで声筋は応えてくれ、いくつになっても若々しい声を保つことができます。
前回の記事で紹介したボイストレーニングに加え、次のようなトレーニングも効果的なのでためしてください。

声筋(こえきん)トレーニング チューブ発声法

声を長く出すためのトレーニングでストローを使用します。ツヤ声を目指す訓練です。ふだん声を絞り出すように出している人におすすめ。

①ストローを口にくわえ、出しやすい音で「うー」と5秒以上発声します。これを10回繰り返します。

②①ができたら、ストローをくわえ、「の⤴の⤵発声法」の要領で「う⤴」と低音から高音へ、続けて「う⤵」と高音から低音へ発声します。これは 1日50回繰り返しましょう。

また、「声筋」を鍛える以外にも、正しい姿勢でたっぷりと空気を取り入れられる呼吸をして、発声量を増やすことも大切です。猫背で口をモゴモゴと動かしていては、通りのよい発声はできません。 姿勢は声の共鳴に大きく影響するので、ツヤ声のためにも胸を張って姿勢をよくし、口角を上げて発声するようにしましょう。

「老け声」を悪化させるNG習慣とは

老け声は、いわば声帯に長年の疲れがたまることによってひき起こるとされると言われています。そのため、若いころからのどに過度な負担をかけないことが何よりも重要です。
 次に紹介する3つの生活習慣は、のどの衰えを加速させるので、いまから改善しましょう。

NG①口呼吸

口を開けて呼吸すると声帯の乾燥を招き、ウイルスなどの異物を体内に入りやすくします。鼻呼吸にして、鼻腔で加湿した空気をのどに送りましょう。また、腹式呼吸も意識すると、深い呼吸ができ、姿勢も自然と整います。

NG②喫煙

自分だけでなくまわりの人にもポリープや喉頭がんのリスクを高めてしまいますので、ぜひ禁煙をしましょう。とくに女性は声帯が薄いので影響を受けやすいとされており、低くにごった「老け声」を加速させてしまいます。

NG③普段と違う声

大声を出したり、叫んだりすると声帯が激しくぶつかり負担がかかります。逆に、ささやき声も声帯を開いて空気を通しながら発声するので、声帯が乾燥しやすくなります。

(2022.9.29 掲載)

教えてもらった先生:渡邊雄介先生

医療法人財団順和会 山王メディカルセンター副院長、国際医療福祉大学医学部教授、 山形大学医学部臨床教授、東京大学医科学研究所附属病院非常勤講師。
専門は音声言語医学、音声外科、音声治療、GERD(胃食道逆流症)、歌手の音声障害。音声の専門医として一般の方からプロフェッショナルまで幅広い支持を得ている。著書に『マスクをするなら「声筋」を鍛えなさい』ほか多数。

制作協力:NHKエデュケーショナル

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