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「耳鼻科医から見たアーティストと演奏 第16回」を公開しました

2023.03.20 お知らせ

耳鼻科医の立場から、医学と演奏を探る

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「耳鼻科医から見たアーティストと演奏 第16回」

 

ゲスト:福井敬(テノール歌手)、お話:竹田数章(仙川耳鼻咽喉科院長)

2023年の松の内最後の1月7日、仙川耳鼻咽喉科を訪れたのは、日本のテノール歌手の最高峰の一人、福井敬。昨年還暦を迎えた福井は、デビューからこれまでトップを走り続け、いまだ衰えを見せない。故障など聞いたことのない福井だが、意外な話も出た。

<音楽之友社刊「音楽の友」2023年3月号掲載>

 

加齢への対策

福井

私は、二期会のオペラでデビューして昨年で30周年、年齢的にも昨年11月に還暦になったばかりです。回復力がなかなか若いころのようにはいかない。喉の筋肉や粘膜は年齢、あるいはホルモンなども関係してくるのでしょうか。

竹田

声帯という声を作るところは、年齢を重ねるにつれて変化します。たとえば、ヒアルロン酸…… 細胞外基質という、声帯のヴォリューム的なものなどかかわっている物質が減ってきてしまいます。

福井

肌にはヒアルロン酸がよいと女性はおっしゃいますが、つながっているということですね。

竹田

そうです。それから、若いころに比べると、声帯を構成する物質が減少してきてしまう。声をとくに使っていない人は年齢が上がると、声帯の筋肉がやせ細ってきてしまいます。でも、歌手は、もちろん歌っておられるのでやせ細りは少ないですが、筋肉以外の部分の、粘膜を構成している物質が減少し、若いころと同じようにはなりにくいですね。

福井

私も最近、中音域で、声帯が合わせにくい感じがイメージとしてありますが、それも年齢的なものなのですね。

竹田

声を使っていない人よりは、保つことはできていると思います。男性の場合、潤いのあった声が、乾いた声や甲高い声に変化していくような感じになります。女性の場合は、年齢が上がると音程が下がる人が多いです。男性は、女性よりも音程は下がらないといわれています。ただ、最近の人は年齢の割に身体も若いですし、歌い続けていると保ちますので、昔よりはそんなには落ちていません。ホルモンのことですが、これも女性のほうに大きな変化があります。女性の場合は月経、それから出産もありますが、更年期に非常に大きな変化が訪れます。そこで女性ホルモンがとても減少しますので、そうすると声帯が大きく変わります。

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