「のどは健康の入り口」
気道線毛運動が私たちの身体の健康を守る
学術映画「気道を守る ~線毛細胞
微粉末生薬の知られざる働き~」
研究報告
ヒトの気道(のどや鼻腔)の粘膜表面は、毛髪様の突起を持つ線毛細胞に覆われ、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を体外へ排泄する重要な役割を担っています。この線毛の運動を活発にするとされるのが、微粉末生薬製剤です。株式会社龍角散は、1960年代から気道線毛運動に関する研究を重ね、微粉末生薬がのどの不調に良い影響を与えることを確認してきました。さらにコロナ禍を契機に「のどバリア機能」に改めて着目し、研究を一層深化させています。そして今回、立命館大学総合科学技術研究機構および株式会社ヨネ・プロダクションとの共同研究により、微粉末生薬製剤が気道線毛運動を活性化させることを、世界初*1の高速度・高解像度画像解析技術によって解明しました。
異物を体外に排泄する
「粘液線毛輸送機能
(のどバリア機能)」が
身体を守る
通常、ホコリや細菌、ウイルスなどの異物は、口や鼻から気道に入ってきます。気道の粘膜表面は線毛細胞に覆われており、線毛は1分間におよそ1000回の3次元運動を行っているといわれています。
また、線毛細胞の表面は、上皮細胞から分泌される粘液の層に覆われています。吸い込んだ異物はこの粘液層に捕らえられ、線毛運動によって粘液とともに体外へ排泄されます。気道におけるこの異物排泄のシステムは「粘液線毛輸送機能」と呼ばれる気道のベルトコンベヤシステムであり、活発に運動する線毛はこのシステムを動かすエンジンに相当します。異物を効率よく排泄する、のどバリア機能が健康な気道粘膜の維持に必須です。
「気道のいとなみ」より抜粋
協力:ヨネ・プロダクション
冬場の空気の乾燥が
円滑な線毛運動を妨げる
冬など空気が乾燥する季節は、線毛周囲の水分が失われやすくなります。こうした状態になると、その上にある粘性の強い粘液層が線毛に直接触れてしまい、線毛の円滑な運動を妨げます。その結果、粘液線毛輸送が十分に機能しなくなります。これが、冬場にインフルエンザなどの上気道感染症が増える一因となっている可能性があります。
実際に、ヒトの気管から得られた線毛細胞を用いて、人工的に作成した正常環境下と乾燥環境下でその動きを比較した結果、乾燥環境下の方で線毛運動の周波数(振動数)の低下が確認されました。*2この結果から、乾燥が線毛の運動を妨げる可能性があることが示されました。
*2 気道線毛の周波数とは気道線毛の振動数のことで、1秒間に約15回程度の速さで振動していますが、乾燥環境下ではこの回数が低下することが認められています。
線毛輸送速度に及ぼす
微粉末生薬製剤の影響
ヒトの気管から得られた線毛細胞を、正常環境下を想定した人工気道溶液で満たし、線毛細胞上にマイクロビーズを置いて、その輸送速度を測定しました。その後、微粉末生薬製剤を添加したところ、線毛運動が活性化し、線毛輸送速度を増大させることが認められました。
乾燥環境下を想定した
気道線毛運動に及ぼす
微粉末生薬の影響
ヒトの気管から得られた線毛細胞に粘性物質を添加して粘性を負荷し、乾燥環境下を想定した人工気道溶液中で、微粉末生薬製剤の添加の有無による線毛運動の変化を観察しました。その結果、微粉末生薬製剤が気管線毛細胞を刺激し、粘性が増した乾燥環境においても線毛運動を活性化させることが認められました。
高速度撮影による正常環境下の
線毛運動に及ぼす微粉末生薬の影響
世界で初めて試みた高速度・高解像度撮影による気道線毛運動の同調運動を定量的に評価する解析法による結果、右側の微粉末生薬を添加した条件では、同調性を示す波形が大きく振れることが確認されました。このことから、微粉末生薬が見事なまでに線毛運動を同調させ、より効率的に異物排泄を行っていることが示唆されました。
研究結果微粉末生薬製剤が
線毛運動を活発にし、
気道粘膜機能をアップさせる
◇ 株式会社龍角散 藤井隆太 代表取締役社長コメント
「100年企業になるにはどうしたら良いのでしょうか」と問われることがよくあります。
私は「いかなる企業も時代とともに進化できなければ生き残れないでしょう」と答えます。
そして進化させるのは製品だけではありません。
歴史ある製品であっても、その技術を現代の目で分析し近代化させることも含まれます。
江戸時代から続く技術が現代にも通用することが証明されたのです。
当社は常に進化を続けます。
ー 学術映画「気道を守る」が
第66回科学技術映像祭で
特別奨励賞を受賞 ー
株式会社龍角散が企画し、立命館大学総合科学技術研究機構および株式会社ヨネ・プロダクションとの共同研究により、微粉末生薬製剤が気道線毛運動を活性化させることを、世界初*1の高速度・高解像度画像解析技術によって解明しました。
その成果の一部をもとに、学術映画「気道を守る ~線毛細胞微粉末生薬の知られざる働き~」を制作しました。本作品の制作にあたっては、立命館大学総合科学技術研究機構の中張隆司先生、丸中良典先生より、研究全般にわたり多大なご指導・ご助言を賜るとともに、研究成果の取りまとめにご尽力いただきました。
※第66回科学技術映像祭表彰式開催日:2025年7月28日(東京)