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「耳鼻科医から見たアーティストと演奏 第19回」を公開しました

2023.12.06 お知らせ

耳鼻科医の立場から、医学と演奏を探る

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「耳鼻科医から見たアーティストと演奏 第19回」


ゲスト:藤原道山(尺八)、お話:竹田数章(仙川耳鼻咽喉科院長)

ここ10年ほどだろうか、邦楽に特筆すべき動きがある。若手演奏家や演奏グループが増え、ヴィジュアルも重視したパフォーマンスを披露している。尺八演奏家、藤原道山もその一人で、チェロの古川展生やピアノの妹尾武と組んだKOBUDO─古武道─というユニットでクラシック演奏家ともコラボし、人気を博している。その藤原が仙川耳鼻咽喉科を訪れ、竹田先生と語り合った。
<音楽之友社刊「音楽の友」2023年9月号掲載>

 

声がひっくり返る
藤原

演奏には関係ないのですが、声が嗄れやすいのです。声がひっくり返るといいますか、喋っているときに裏返ってしまうこともあります。

竹田
喉頭という声を出すところでは、空気が流れています。管楽器も歌も、しゃべるときも同じように空気が流れているために、少し声帯が乾燥してしまい、炎症が起こる場合もあります。炎症が起きると、少しかさついて声がひっくり返ることもあります。

 

お腹を意識する

藤原
教えるとき、よく「お腹から」とアドヴァイスしています。自分の身体を意識することはとても大事だと思います。

竹田
横隔膜が収縮して下がると、お腹の臓器が押されて、お腹が膨れて見えますが、実際に空気が入るのは、肺です。横隔膜が下がると胸腔の上下が拡がり、肺に息が流れ込みます。この胸腔を拡げるということが重要です。胸式で無理やり息を吸おうとブレスすると、鎖骨近辺の前胸部が持ち上がりますが、スペースは小さく、あまり効果的に息が入ってきません。しかも力が入ってしまい身体がこわばって胸郭のひろがりが悪くなり、ブレスの音も聴き苦しい場合があります。呼吸法のしかたがつかみにくい人は、まず、息を吐くことから始めるとよいです。息を出しきると身体が吸気を求めます。呼吸の反射と呼んでいますが、身体が自然に緩み、横隔膜が下がって、反射的に息が肺に流れ込みます。お腹の意識をします。あと、呼吸の支えがあると、ノドで無理やり調節しなくても、息のスピードが手助けとなって喉の力も抜けやすい。横隔膜を下げていくように息をとるのが、最も自然な息の流れといえます。

藤原
横隔膜は、意識して動かせる筋肉なのですか。

竹田
そこが呼吸のおもしろいところです。私は「呼吸の二面性」と呼んでいます。呼吸は、寝ている間もしていますから、無意識的に、自律的に制御されています。でも、演奏のときは、意識して変えることができます。管楽器や歌で長く息を出したいとき、吸気筋である横隔膜を使います。いわばブレーキをかけているようなもので、すぐに息が出ていかないようにしているのです。でも、肺は徐々に縮もうとし、息が足りなくなったら呼気筋という、息を吐くときに手助けする腹筋群などがさらに横隔膜を下から押し上げて、息を出します。だからお腹は重要ですね。

 

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