のどの症状あれこれ
せきが出る、のどが荒れた…など、いろいろなのどの症状について詳しくご紹介いたします。

せきが出る!

せきは、のどや気管、気管支などが刺激されたときに起こるもので、外から入ってくる刺激物から肺や気管支を守る目的をもっています。また、逆に、炎症によってできたたんなどの気道内分泌物を外に出す役割も果たしています。ですから、せきが出るということは、本来、気道にあるべきではない異物や、気道への物理的・科学的な刺激、気道の炎症があるということです。また、気道が圧迫されたりひっぱられたりした場合にも、せき反射が起こります。

たしかに、慢性的なせき症状でも、ひどくなったり治まったりするので、いつせきがひどくなるかという症状の変化によって、おおよその病気を推測することができます。

夜間から明け方に多いせきやたんは気管支ぜんそくが考えられ、春や秋に多く起こります。

朝起きたときから午前中にかけてのせきやたんは、慢性気管支炎やびまん性汎細気管支炎の疑いがあり、冬に悪化します。夏から秋にかけて、暑くて湿度が高い時期にせきが出やすくなるのは、過敏性肺臓炎が考えられます。

のどが荒れた!

「のどが荒れる」ということは、のどに炎症が起こって粘膜が乾いたり、充血して赤くなったりしている状態です。のどが荒れると、軽いうちは乾燥感や異物感程度ですが、ひどくなると内側が腫れ、何もしないでものどが痛んだり(自発痛)、ものを飲み込むときに痛んだり(嚥下痛)します。

こうした症状がおきたら、トローチやうがい薬で清潔を保ち、食べものもやわらかくし、刺激の少ない、消化のよいものにします。

のどが痛くなって耳鼻咽喉科にかかると、お医者さんはまず口の中をよく観察し、次に喉頭鏡や後鼻鏡などの小さな鏡でのどの奥もよく調べます。喉頭ファイバースコープ(喉頭内視鏡)を使って見ることもあります。炎症の程度や病気の種類によっては、血液検査も必要になります。

のどの辺りが息苦しい!(呼吸困難)

呼吸困難は、肺や血液、全身の病気などで起こることが多いので、詳しく調べてもらうことが大事です。のどを抑えたり、のどが痛むなど明らかにのどが原因で息苦しく感じる場合には、のどに原因があることもあります。

のどが原因で幼児が急に息苦しそうにしているのは、急性声門下喉頭炎や咽後膿瘍、重い扁桃炎などの病気がありますが、気道に何かがつまる(気道異物)の場合もあります。幼児は思いがけないものを口にして詰まらせますから、周囲の大人はよく気をつけてあげてください。

大人の呼吸困難でのどに原因があるものは、大きな声帯ポリープができる、声帯マヒ(反回神経マヒ)、咽頭・喉頭・気管などのがんなどの場合があります。

ものがうまく飲み込めない!(嚥下障害)

ものがうまく飲み込めないことを、「嚥下困難」とか「嚥下障害」といいます。

幼児がものを飲み込みにくくなったときには、小さなおもちゃなどの異物を飲み込んで、それがのどの奥に引っかかっていることがあります。原因不明の嚥下障害があったら、早めに総合病院の耳鼻咽喉科へ連れて行ってあげて下さい。

カゼをひいた後でのどが痛み、ものが飲み込めなくなったときには、扁桃炎にともなう嚥下困難の可能性が高いでしょう。カゼとともにかかりつけの小児科医に診てもらいましょう。

大人の場合で、のどの痛みが続き、つばも飲み込めなくなった場合には、扁桃周囲膿瘍や喉頭蓋膿瘍が疑われ、大急ぎの治療が必要です。急いで耳鼻咽喉科を受診して下さい。

40代以上になると、ものがうまく飲みこめないとすぐに「がんではないか」と心配して受診する人がいます。まったくその可能性がないわけではなく、食道下部から胃の入口にかけてのがんの場合、初期症状として軽い嚥下障害が見られることがあります。

しかし、女性の場合には、更年期障害の一つとしてのどの違和感があります。実際に嚥下障害がある場合にはくわしい検査が必要ですが、検査しても原因が見つからない場合のほうが多いのが実情です。深刻に考えず、気になる人は総合病院の耳鼻科で診てもらいましょう。

よくむせる!

 食べたものや飲んだもの、あるいは唾液が入って行くのは、下咽頭から食道へという、気管の後ろ側(背中側)にある道すじです。ところがこれが、誤って息が進んで行くほうの喉頭から気管へと入っていく(誤嚥)と、むせます。誤嚥が起こるとむせるのは、異物を外に出そうとするせき反射の一種です。
 ものを飲み込む(嚥下)というのは意外に複雑なシステムで、軟口蓋、舌、喉頭蓋、下咽頭周辺の筋肉、神経などさまざまな部分が関わります。これらのどこかの動きや働きがうまくいかないと、誤って気道のほうに食物や飲み物を押し込むことになるのです。
 むせることはよくあることですが、あまりひんぱんにむせる場合、喉頭や下咽頭の腫瘍や神経系の病気が隠れていることがあります。また、誤って気道に入ったものをうまく外に押し出すことができず、気管のほうに入っていくと、肺炎の原因になることもあります。どんなとき、どのようにむせるかを話して、耳鼻咽喉科で検査してもらいましょう。

のどに異物が引っかかった!

食事中、ものを飲みこんだ後にのどが痛くなるのは、何かの異物がのどに刺さったりひっかかったりしているため(咽頭異物)で、いちばん多いのは魚の小骨がのどにひっかかることです。ご飯などを飲みこむことで取れる場合がありますが、骨は取れても傷の痛みが残ることがあります。

骨が見えないのにいつまでも痛む場合には、骨がのどの粘膜を破ってまわりの組織に刺さっていることがあります。耳鼻咽喉科で診てもらいましょう。

お年寄りが食事の後にのどが痛むという場合には、魚の骨などの異物のほか、入れ歯の一部が欠けてのどにひっかっていることもあります。この疑いがある場合には、対処が難しいことがありますから、ただちに総合病院の耳鼻咽喉科に行って下さい。異物がのどの奥に入り込んでしまっている場合、食道まで達する内視鏡による検査が必要になります。

いびきがひどい!

いびきは、鼻やのどなどの気道に異常があって、寝息に雑音が混じるものです。原因はさまざまで、生活上の問題にすぎないこともあれば、気になる病気が潜んでいることもあります。

疲れたときや、お酒を飲んだあと、あるいは太っている人などはいびきをかきやすく、これは、のどがたるんだり狭くなったりして呼吸のたびに振動するためです。

寝るときの姿勢がいびきの原因になっていることもあります。枕が高いと空気の通り道が狭くなるため、いびきをかきやすくなります。低い枕で横向きに寝ると、いびきをかきにくくなるようです。

また、鼻がつまると口で呼吸をするため、いびきをかきやすくなります。鼻づまりといびきがいっしょに起こっている場合、耳鼻咽喉科で鼻づまりの原因を調べてもらいましょう。子どものいびきの原因は、大半が扁桃肥大かアデノイド肥大ですが、これも鼻づまりをともないます。

ひどいいびきが続き、ときどきガガーッと一時的に呼吸が止まってしまうようなら、睡眠時無呼吸症候群のおそれがあります。大人が主ですが子どもにも起こり、突然死の原因になることもあります。ぜひ早目に耳鼻咽喉科を受診してください。

40代以降の人が突然異様な大いびきをかきはじめて、起こしても反応がないようなら、脳卒中の疑いがあります。至急、救急車などで病院に連れて行きましょう。

また、ごくまれですが、若い男性の場合、上咽頭腫瘍がいびきの原因となっていることがあります。いびきに、鼻づまり、鼻血が何回も起こるようなら、総合病院の耳鼻科を受診してください。

声がかれる!かすれる!

声を出す部分は、声帯を中心とした喉頭と呼ばれるところです。声に何らかの変化が出てきたら、声帯や喉頭に異常が起きたことを表します。理由はともかく、かすれ声が1週間以上続いたら、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

声のかすれだけでなく、熱、だるさ、鼻水、鼻づまり、せき、のどの痛みなどをともなえば、カゼによる急性喉頭炎が疑われます。一時的な声のかすれは、大半がこれです。

小学生ぐらいの子どもの場合、学校や遊び場などで大きな声を出しすぎると声がすれが起こります。学童嗄声と呼ばれるもので、しばらく大きな声を出さないで声帯や喉頭を酷使しないようにしていれば、やがて治ります。

大人で、声をよく使う仕事の人の声がかすれたときには、のどの使いすぎによる声帯の炎症や、声帯ポリープが疑われます。声を出さないでいれば治りますが、声を出すことが仕事の人はそうもいかず、一定期間休んで切除手術をしたり、専門医によって声を出し続けながら治療したりすることになります。

最近は、仕事ではなく、カラオケで声を出し過ぎてできる声帯ポリープも見かけられます。これには飲酒や喫煙あるいは副流煙も関係しているようです。

中年以上の女性が長期間にわたってしゃがれ声になっている場合、ポリープ様声帯が最も疑われ、大半は10年以上の喫煙者です。タバコがのどに良くないことはわかりやすいのですが、お酒ものどを刺激するとともに脱水を招いて喉頭を痛める原因となり、この二つが重なると、喉頭にとっては非常に厳しい環境となります。

40代以上の男性でタバコをよく吸う人の声がかすれてきたら、喉頭がんの疑いがあります。すぐに総合病院の耳鼻咽喉科で検査を受けましょう。

声が出ない!

声が出なくなる前に、大抵ははじめに声がかすれ、徐々に出なくなります。「声がかすれる」の項目を参照してください。

急に声が出なくなるのは、声帯マヒ(反回神経マヒ)、または心因性の失声です。

声帯を調節する神経である反回神経は、大きな血管を迂回するため、脳(延髄)から胸の気管支近くまで下がってから、ふたたび上に向かってのどに達します。この長い経路のどこかで病気が起こると反回神経がマヒし、声が出なくなることがあります。

心因性の失声は「心の病気がのどにくる?」を参照してください。

声変わりだけどなにかヘンだ

声変わりは、第二次性徴(いわゆる思春期)にともなって起こる正常な生理的現象です。男子にも女子にも現れ、3~11か月ほど続きます。男子は14~15歳頃に始まり、女子はもう少し早い時期に起こりますが、男子の方がはっきりわかります。喉頭が前後左右に急速に成長し、男子ではのどぼとけが前の方に出てきます。声はつやがなくなり、しゃがれることも多く、高さも不安定となります。

まれに、高い声の時期が長期間続いて声変わりらしい時期が現れなかったり、変声期のしゃがれ声がそのまま残ったり、変声期バスと呼ばれる異様に低い声が続いたりと、声変わりが順調に行かないことがあります。これを声変わり障害と呼び、発声の矯正が必要になります。原因は、変声期に声を無理に出したり使いすぎたりすることですが、心理的な要因もあるようです。

心の病気がのどにくる?

「のどに何かあるような気がする」という訴えがあります。これを咽喉頭異常感症と呼びます。この症状を起こす病気には、たとえば鉄欠乏性貧血、甲状腺機能異常、のどのがんなどさまざまなものがあります。しかし、咽喉頭異常感を訴えるのに、医療設備の整った病院で検査しても何も原因が見つからない場合があります。こうした場合、咽喉頭異常感の背後に、身体性障害のうちの転換性障害や、うつ病・うつ状態が隠れていることがあります。また、「ものがうまく飲みこめない(嚥下困難)」「声が出ない(失声)」という症状も、転換性障害として起こることがあります。

身体性障害の一種である転換性障害は、かつてはノイローゼ(神経症)のうちのヒステリーとよばれたもので、心理的な葛藤や大きなストレスが原因となって、体に機能障害が現れるものです。喉頭異常感や嚥下困難、失声などという明らかな症状はあるのですが、さまざまな検査をしてみても、のどはもちろん、ほかの部分にも異常はみつかりません。

心の病気はさまざまな症状となって現れます。「気のせいよ」とすまさず、心療内科のお医者さんや、精神面まで気を配ってくれる耳鼻科のお医者さんに診てもらうようにしましょう。