のどの薬・生薬まめ辞典
のどの薬の形と効き目の関係や、薬の成分や特徴について詳しくご紹介いたします。

生薬

キョウニン(杏仁)

アンズの種子。アンズは中国北部原産のバラ科の果樹で、ウメによく似ています。北地での栽培に適し、わが国では東北地方や長野県、山梨県などで栽培されています。ウメより遅れて花をつけ、果実は黄赤色に熟します。果肉の中央部には核があり、核の表面には細かいしわのような網紋があるのが特徴です。核の中にある種子がキョウニンで、天日で乾燥させて使います。

成分としてはアミグダリンという青酸配糖体を含み、これが体内で分解されて微量の青酸を生じます。青酸は呼吸中枢、咳中枢を鎮静させるため、キョウニンは咳止め薬として喘息や咳、呼吸困難などに効きます。しかし多量に服用すると、青酸の吸収がふえて中毒症状が起こる場合があります。また、含まれる脂肪油が腸の自発運動を活発にし、便通をよくします。

キキョウ(桔梗)

秋の七草として名高いキキョウの根です。

キキョウはキキョウ科の多年草で、山野の日当たりのよい草地に自生し、日本各地と朝鮮半島から中国北東部にかけて広く分布しています。自生するもののほとんどは青紫色で一重の花を咲かせます。観賞用にも栽培され、これには白色の花もあります。

生薬として用いられるのは根で、乾燥させて使います。ニンジンによく似ていますが、イヌリンを含む点で区別して用います。

キキョウの根はサポニンを含み、これには気道の粘膜の分泌をよくすることとあわ立ち作用があります。このため、適量を飲むとたんが出やすくなります。ただし多量に飲むと吐き気を催すことがあります。また、イヌリンは水溶性食物繊維ですから、腸内の善玉菌の増殖を助け、便通をよくする作用もあります。

セネガ

ヒメハギ科の多年生の草で、生薬には根を用います。

セネガは北アメリカ原産で、もとは先住民族のセネカ族が、ガラガラヘビにかまれたときの応急に用いたものです。その後、たんを取る作用が認められ、ヨーロッパを中心に広く用いられるようになりました。日本ではヒロハセネガという品種を、北海道、京都府、兵庫県などで栽培しています。

根を天日で乾燥させて生薬とし、主成分はトリテルペンサポニンです。キキョウと同様サポニンの粘膜刺激作用により気道の分泌をうながし、強い去痰効果を示します。

カンゾウ(甘草)

マメ科の多年草。中国からヨーロッパ南部に分布しています。生薬のカンゾウは根や地上を這う茎(ストロン)を乾燥させたものです。日本で市場に出回っているものはすべて輸入品です。

主成分はサポニンの一種であるグリチルリチン。グリチルリチンには咳止め、抗潰瘍、抗アレルギー、抗炎症などの作用のほか、免疫力を高めたり、肝機能を高めてその解毒を助けるはたらきやがん予防効果など、多くの薬効があります。

また、もう一つの主成分であるフラボノイドにも、咳止めや利尿作用があります。

ニンジン(人参)

生薬でニンジンといえばいわゆる朝鮮人参で、ウコギ科のオタネニンジンの根のことです。朝鮮半島や中国原産の多年草ですが、現在はそのほとんどが栽培されたものです。日本では、長野県、福島県、島根県などで栽培されていますが、市場に出回っているものの大部分は輸入品です。根を水洗いして天日乾燥したもを「白参」といい、水洗いのあと湯通ししてから乾燥させたものを「紅参」といいます。紅参のほうが穏やかに効くのが特徴です。

強壮作用が有名で、漢方では古来万能薬として利用されてきましたが、今では実験や臨床により、新陳代謝の促進や精神安定、中枢の興奮作用、免疫を高める作用など多くの薬効が裏づけられています。

主要成分であるニンジンサポニンをはじめ多くの成分が含まれていて、抗炎症作用、抗菌作用、抗胃潰瘍作用、疲労防止や疲労回復、抗ストレス作用、老化防止作用など多くの作用が認められています。

アセンヤク(阿仙薬)

アカネ科のガンビールという植物の葉や若枝を乾燥させてから水に浸して取り出した水製エキスを生薬として用います。ガンビールはマラッカ海峡沿岸地方原産で、おもにマレー半島南端付近の諸島やインドネシアで栽培されています。

水製エキスは口腔清涼剤としても用いられているほか、小腸の蠕動運動を抑制し盲腸の逆蠕動運動を促進するため、昔から下痢止めや整腸薬として使用されています。主成分はフラボノイドとアルカロイド。フラボノイドには抗血栓作用があり、アルカロイドにはがん細胞の増殖を抑制するはたらきがあります。

マオウ(麻黄)

中国東北部、モンゴルの原野、砂地などに分布するマオウ科の小低木。日本でも栽培され、茎を日陰で乾燥させたものを生薬として用います。咳止め、抗アレルギー、抗炎症、発汗、解熱、鎮痛などの作用があり、漢方ではかぜの初期によく使われる葛根湯にも配合されています。

主成分はアルカロイドの一種のエフェドリンです。麻黄から抽出したエフェドリンはエフェドリン塩酸塩として西洋医学の治療にも用いられています。気管支筋を弛緩させる作用があり喘息や百日咳にも効果があります。アドレナリンに似た交感神経興奮作用によって、発汗や血圧上昇などを促すため解熱効果、抗炎症作用も認められています。