季節とのど(喉)の関係:花粉症

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花粉症がのどにあたえる影響とは?

春になると天気予報に花粉の飛散予報が加わるほど、花粉症に悩まされる人が増えています。多くは目のかゆみや鼻水などのアレルギー症状ですが、のどに症状が出る人も少なくありません。花粉症とのどの関係について岡本美孝先生にお伺いしました。

2月から飛び始めるスギ花粉

春に飛散する花粉はスギが有名ですが、関東以西の地方ではヒノキ花粉のほうが多く飛散することがあります。花粉の飛散時期は、関東ではスギが2〜4月、ヒノキは3〜5月、カモガヤは4〜7月といわれています。ミモザなど園芸植物の花粉症もあります。
また、春は花粉に加えて、中国から偏西風にのってやってくる黄砂や大気 汚染物質PM2.5にも注意したいもの。花粉症と同様のアレルギー症状を引き起こしたり、花粉症の症状を悪化させたりします。

花粉症の症状

花粉症の主な症状としては、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、充血ですが、集中力の低下や体のだるさ、のどや顔がかゆいといった全身症状を伴うこともあります。
のどの症状としては、痛みのほか、口腔内の乾燥(口喝)、イガイガなどの違和感、咳などがあります。のどに花粉が付着することでアレルギー反応を起こしていることもありますが、鼻づまりによる口での呼吸や鼻汁(後鼻漏)がのどの粘膜を傷め、それによって細菌やウィルスによる炎症が起こり、のどの痛みを引き起こす場合もあります。 また、特定の果物や野菜を食べると口や舌、のどがかゆくなったり腫れたりする「口腔アレルギー」を発症することもあります。スギ花粉症では、トマトによる口腔アレルギーが知られています。

花粉症の対策

花粉症の治療では、症状を抑える「対症療法」と完治をめざす「アレルゲン免疫療法」があります。薬を使った対症療法では症状が改善されないスギ(ヒノキ)花粉症の人にはアレルゲン免疫療法が推奨されており、約8割の人に改善が認められています。
セルフケアとしては、なるべく花粉を避けることが大切です。花粉の飛散 シーズンには外出を減らし、窓を閉めるといった対策をしましょう。外出の 際は、メガネやマスク、帽子などで防備し、花粉の付着しづらいツルツルとした素材の上着を着用しましょう。 のどの症状をやわらげるには、うがいが効果的です。帰宅時はもちろん、こまめなうがいを心がけてください。

水筒を用意して、のどをうるおしたり、うがいをしたりしてのどの症状をやわらげましょう。

春以外の花粉症

5月になっても花粉症の症状が治らないという人は、スギ以外の花粉症かもしれません。夏に発症する花粉症の原因と考えられるのが、春から夏にかけて花粉をつけるカモガヤ、ホソムギなどのイネ科植物で、河川敷や公園などに生えています。
スギ花粉では発症しなくても、秋に花粉症になる人もいます。キク科やアサ科の花粉は8〜10月が飛散のピークで、関東地方では8月中旬からブタクサ、オオブタクサ、9月からはヨモギ、カナムグラなど、草の花粉が 飛散しています。どれも住宅街や道端、川沿いなどに自生しています。
ブタクサなど秋の花粉はスギと比べると粒子が小さいため、花粉が気管支まで届いてしまい、のどがイガイガする、熱もないのに乾いた咳(痰を伴わない)が長引くといった強い違和感を生じさせるのが特徴です。また、アレルギーがあると喘息のようにせき込むなどの症状をひき起こしてしまう場合もあります。
これらの草木花粉は飛散距離が短く、自生している周辺のみに飛ぶので、その周囲に近づかないようにすることで予防もできます。

カモガヤ

ブタクサ

ヨモギ

カナムグラ

(2024.1.23掲載)

教えてもらった先生:岡本美孝先生

千葉大学耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学教授を経て2019年より千葉労災病院院長。厚労省アレルギー疾患対策推進協議会委員。

制作協力:NHKエデュケーショナル

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